『経営重心』感想

経営重心 (経営者新書)

経営重心 (経営者新書)

今年5月だったか、某MBAの公開セミナーで筆者の講演を聴いて「これは面白い!!」と思ってつい買ってしまった本。


筆者・若林氏は東大工学部・院卒で NRI入社、JPモルガンからみずほ証券という経歴で、日本の電機業界に関しては屈指のアナリストとして知る人ぞ知る存在らしいのだが、まあ私は寡聞にして存じ上げず。。。

そもそもなぜその講演に関心を持ったかというと、シャープの件で揺れる日本の電機業界の行方に興味があったことがまず前提だが、若林氏の独自の視点に興味を持ったから。

つまり、「従来の伝統的な事業ドメインや財務指標から企業を見る」のではなく、「企業の個性や風土といった曖昧な特質を科学的アプローチで定量化し、同時に事業ドメインについてもより本質的な切り口で分析する」という非常に挑戦的かつ独特な ”経営重心”という視点に興味を惹かれた訳である。


講演の方は、まああくまでも講演ということでエッセンスのみであり、若林氏の理論を支える細かな部分までは省略されていたため、この本を読めばもう少し深く理解できるかなと思ったのだが・・・。


正直に白状するが、現時点の自分には少々ハードルが高すぎたというのが率直な印象。

電機業界やそのビジネスに精通しているか、あるいは「アナリストが基本的と思う」レベルの数理的な理解があるかのどちらかであれば、あるいはもう少し違ったかもしれないが。

自分の場合はいずれも全く足りないので、この本の真の意味での理解度は30%くらいかなァという感じ。


しかし要所要所というか、個々のポイントについては興味深く、また示唆に富んだ分析が多いため、その点は読んでみてよかったと思う。
ただ、この本は東芝の不正会計問題が明確になる前に出版された本なので、おそらく若林氏は東芝の正しい姿を再分析した上でまた本を出すのではないか。

いずれにせよ、数年して自分の知識レベルがもう少し上昇したら、また再読したい。




まーでもあれだね、分からないと言いつつ、分からないなりに「意外と論理展開がふわっとしてんなァ」と思うとこも結構あったりしてw 
ガッチガチ理系の人が科学的アプローチを用いてふわっとした風土論とかを語ろうとすると、やっぱりどっか違和感を感じるなーとちょっと思ったのでありましたwww